毎年、マウリディ祭の時期になると、ラムの旧市街と新市街はともに活気づきます。"マウリディ(Maulidi)"とは、預言者ムハンマドの誕生を祝うためにイスラム歴の第3月に行われるイスラムの祭り"Milad-un-Nabi"の通称です。
この宗教上の祝祭の起源は8世紀のエジプトにさかのぼりますが、そのユニークな東アフリカ・バージョンは、1866年にラムへやって来たコモロ諸島出身のアラブ人、ハビブ・スワレ・ジャマル・レリ(Habib Swaleh Jamal Lely)がラムで発展させたものと考えられています。ハビブはラム・タウンに偉大なリヤダ・モスクを建造し、純粋な東アフリカ・バージョンの"マウリディ(Maulidi)"を祝うようにしました。ラムの"マウリディ(Maulidi)"の祝典はさまざまな形態をとりますが、その中核をなすのは地域社会の文化的な統一を強める歓喜と信仰に満ちた祭典です。
一般に、ラムの祝いの行事は午後の涼しい時間に開始されます。宗教上の主な祝典はリヤダ・モスクとその周辺で行われます。モスクの外にある、男性用と女性用に場所が仕切られた中央広場では、地元のエネルギッシュな太鼓グループの伴奏による伝統的な踊りが披露されます。
この踊りでもっとも有名なのが"ゴマ(Goma)"です。"ゴマ(Goma)"では、"バコラ(Bakora)"と呼ばれる長い杖を持った男たちが並んで立ちます。太鼓のリズムに合わせて体をゆっくり揺らしながら、男たちは杖を前に伸ばしたり、太鼓の間でつなぎ合わせたりします。同時に、ほかの男たちはペアになってアラブの伝統的な曲がった剣を身にまといます。男たちはサンダル靴を盾に使用し、太鼓の音に合わせて模擬的な闘いを演じます。
より厳粛に行われる儀式が夜を徹した礼拝です。イルミネーションを施したモスクのまわりに町の人々が集まり、夜を徹して祈りを捧げます。集団による祈りと瞑想、清らかな歌と聖歌のセッションが交互に明け方まで一晩中続けられます。
"マウリディ(Maulidi)"の最終日、ラムの男たちは町の墓地に集い、ハビブ・スワレの墓を取り囲みます。静かな祈りを捧げると、男と少年のグループは一団となって手をつなぎ腕を組み、町へ向かって行進を始めます。カラフルでエネルギッシュな行進は、海に面した通りを蛇行しながら町の中心部へと進み、群衆はともに歌い、踊ります。
ラム島への観光客は"マウリディ(Maulidi)"の期間中に祝いの行事を自由に見て楽しむことができます。ただし、地元の慣習に一定の敬意をはらうことが求められます。訪問先、そこでの行動、服装などについて地元の人々のアドバイスを受けてください。ラムの住民は自分たちの文化と伝統を非常に誇りにしており、ラム島を観光客と共有できることを大変嬉しく思っています。
ラムの伝統と文化を保存するために、ラムの博物館は"マウリディ(Maulidi)"を利用してコンテストや競技会をいくつか催しています。それぞれのイベントの目的は、ラムでの生活に欠かせない地元の技術と実践経験を促進することにあります。その例として、伝統的なスワヒリ語の詩、ヘンナ・ペインティング、コーランの朗読などがあります。
エンジンと組立式ボートの普及によって今や脅かされている"ダウ(Dhow)"による航海術の保存と促進を図るために、毎年、"マウリディ(Maulidi)"の期間中にダウのレースも開催されます。この地方の伝統的な三角帆のデザインで造られた"ダウ(Dhow)"は、交易所としてラムの生活の重要な部分を占めており、今なお群島の至る所で使用されています。
ラムの選りすぐりの"ダウ(Dhow)"によって、入り組んだ一連のブイの中を航行するレースが行われます。ここでは、スピードに加えて入念なジグザグ航行と巧みな操船の技術が問われます。地元住民と観光客はともに観客として、ラムの町の桟橋や波止場から、または屋上の快適なレストランからレースを眺めます。
競泳や海岸沿いでのハードなクロスカントリーレースなどの他のイベントは、いずれも体力を消耗する炎天下で行われます。この厳しいレースでは、地元と外国の選手はともに海岸通りの群衆とロバを縫うようにして走り、砂浜を通ってシェラへと向かいます。暑気払いのために、途中で足を止めてすばやく海へ飛びこむ選手もいます。
マウリディ祭全体での真のハイライトは、ラムでもっとも親しみのわくシンボルであるロバのレースです。地元のロバの騎手は、このイベントのためにロバに乗る技術を実際にまる1年かけて磨きます。勝利した騎手は大きな誇りをもってタイトルを手にします。ロバの勝利騎手になるには特殊な技術が要求されます。この種の大部分のレースと同様に身長が低いほうが有利ですが、頑固なロバの動きを保って前進し続けるには確かな才能が必要です。
"マウリディ(Maulidi)"は過去と未来、そしてラムの地域社会の心の拠り所である信仰と伝統を祝う祭りです。ラム島を訪れた観光客の多くは、その平穏でくつろいだライフスタイルに魅了されます。さらに、マウリディ祭の期間中に訪問すれば、熱狂と歓喜が頂点に達したラムの生活を体験するチャンスに恵まれます。











